2013年10月17日木曜日

娘が「いじめ」られて分かったこと。大人って「子どもの心の闇」が見えてないのです!

娘が「いじめ」られてるなんて・・・信じられませんでした。
気が強く、勝手気ままで、生まれてからずーっと反抗期のじゃじゃ馬娘が
こともあろうに「いじめ」に合っているなんて!
まるで信じられない、驚きの事件が起こったのです。

今まで世間で騒がれている「いじめ」とは全く無関係だと思ってきた私は、本当にびっくりしました。
こうなった以上、親の私が無知では済まされないと思い、
熱心に「いじめ」情報を集めてみました。
お陰で「いじめ」について勉強する機会が与えられたので、
「いじめ」を身近に感じたのでした。

「いじめ」はいけません。
「いじめ」ても、「いじめ」られてもいけません。

文部科学省の言う、「いじめ」とは・・・
【新定義】(平成18年度間の調査より)
「本調査において、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、
表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。
「いじめ」とは、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、
心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」
とする。
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。」
とあります。

これだけ読むとかなり深刻な感じですが、娘の場合はちょっと違いました。
そもそも、「いじめ」られていることが分かったのは、意外なことからでした。

それって、ホントに「いじめ」なの?

丁度2年前、小学校5年生だった娘は小学校では番長のような勢いで
毎日、肩で風を切っていたので、学校では「いじめ」る方にいたかも知れません。

「いじめ」は学校で起きたのではなく、苦手な算数を少しでもできるようにと、
通いだした学習塾で起きました。
その学習塾は真剣な中学受験の子ども達も通っていたので、
小学校落第を免れるための能天気な娘のような子どもは場違いだったかもしれません。
その程度の勉強であれば、家庭で母親がちょっと教えればいいものですが、
シングルマザーの私には時間的な余裕も無く(実は私も算数は苦手ですので~)、
塾に丸投げしたのが事実でした。

「小学校で落第や留年はいくらなんでも、すごくカッコ悪いでしょう!」と、
私の叱咤激励を受けつつも、
娘はイヤイヤながらの通塾でした。

そんな折、いきなりの小テストで「0点」を取ってきたのです。
「え~~っ!なに、コレ!冗談でしょう!!」と言う私に
「しょうがないよぉ・・・」とムクレル娘。
「何がしょうがないのよっ!」と切れる私。
「だって、筆箱を盗られて、テスト、受けられなかったんだモン・・・」としょげる娘。
変なことを言うので、急に冷静になった私が、
「どう言うこと、よ??」と聞くと、
「毎日、わたしのモノを誰かが盗るんだモン~」とうつむく娘。
普段は適当なウソを連発する娘ですが、
このことはどうもウソを付いているとは思えませんでした。

「今までなにを盗られたの?」とやさしく聞くと、
「お弁当は盗られることが多いよ・・・」と娘。
「じゃあ、盗られたら食べずに帰ってくるの?」と聞くと、
「ううん、後で見つかるよ。」と娘。
「じゃぁ、いつ、お弁当、食べてるの?」と聞くと、
「塾が終わってから、公園で一人で食べてる・・・」と娘。
「あぁ、そうなの~食べずに帰ってくればいいのに・・・」と言い、
「ふ~~っ」とため息交じりの私。
「だってぇ、お仕事で忙しいママが一生懸命作ってくれているお弁当だモン。
ゼッタイ、食べるよ。」と言ういじらしい娘。
思わず、抱きしめる私。
「それから?他には??」と追いかけ聞くと、
「テキストとか、ノートや下敷き。
メガネ(勉強もしないのに、近眼なので)のときは授業中、見えなくて困ったよ・・・」と娘。
「なんだか、悪質ね。でもどうして、そんなものを盗るんでしょうねぇ?
でも、瑞希が困ってるんだったら、ママに言ってくれればいいのに!」と私が言うと、
「う~ん。そうだけど。なんかヘンだなって思ってたけど・・・」ともう一つピンときていない娘でした。

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
その日はそれで何となく終了して、
翌日、やって来た妹の八衣路(はいじ)にポロっと話してみました。
「なにーィッ!それって【いじめ】じゃないの!!エーッ、親娘で気が付いてないの?
バカじゃない!しっかりしてよ!!」と妹に指摘され、ビックリ。

これって、「いじめ」なんだ!と気付かされて、親娘でビックリでした。

「ホントにオメデタイんだから~」と妹に何度もバカにされました。

「いじめ」にあっっている娘自身もあんまり自覚していないのも事実。
「こんなんじゃ、【イジメ】ているほうもガッカリね。」と妹に言われてしまう破目に。

「いじめ」の実態調査に乗り出すが・・・

とは言うものの、「いじめ」と分かった限りは手を打つべき。
娘からは「塾に言うのはやめて!」と言われ、
先ずは現状を把握をするために、実態を調査することにしました。

やる気十分の妹とともに、お仕事を休んで対策を練りました。
夕刻8時に娘の塾が終わるのを見計らって、帰り道で娘を待ちました。

娘と合流すると、
「あの子よ。わたしの物を盗った子は!」と言って、指差す方向を見ると
カワイイ女の子が歩いてくるではありませんか!
真正面に立ちはだかった私が、
「ねえ、私は原田瑞希の母親です。あなたが、瑞希のものを盗ったりしてる子なの?}と
単刀直入に尋ねました。
その子は大きな眼で私を見上げて、
「えっ!はい・・・」と小さくうなずいて、
突然逃げ出そうとするので、
「ダメよ!待ちなさい!!」と思わず、私はその子の腕をつかんでしまいました。
すると、
「ごめんなさい・・・」と言って、
その子はうずくまって、泣き出したので、
「大丈夫?」と慰めてしまいました。

二人を並べてみると、
どう見ても、「いじめ」ているのは娘のほうで
その子は「いじめ」られているほうに見えました。
まさに「捕らえてみれば・・・」という感じで、妹と眼を合わせる始末でした。

私達の感触を敏感に察した娘が、
「ほらね。塾に言わなくて良かったでしょ!」と言うので、
妹ともども、吹きだしてしまいました。

「いじめ」の張本人をおうちにご招待して、おもてなし??

「お家に帰っても誰もいないから・・・」と言うその子を連れて、
仕方なく、一旦、我が家に帰ってきました。

妹の車に乗せると、とても嬉しそうにしているその子に、
「お名前は?」と聞くと、
「はい、小川彩香(あやか)と言います。」とハキハキ答える始末。
さっきの泣きべそはどこへやら・・・

「ご両親は今日はお留守?」と聞くと、
「はい、父も母も大学病院の医師ですので、帰りは遅いのです。」と。
「彩香ちゃんのご兄弟は?」と聞くと、
「一人っ子です・・・」と寂しそうに答え、
「瑞希ちゃんは弟がいて、うらやましい・・・」とも言うのです。
「お母さんも優しくて、いつもお弁当を作ってくれていて、うらやましい・・・」と。
私が「おばさんも働いているし、うちはパパもいないし、ね。」と言うと、
「ホントですか!知らなかった!」と驚いていました。

「でも、瑞希ちゃんはいつもお母さんや弟のお話を楽しそうにしているので、いいなって・・・」と
言って、シューンとしてしまいました。
なんだ!我が家が羨ましかったんだ!それで瑞希を「いじめ」ていたと気付かされました。

我が家で、康介も一緒におやつを食べたり、
ワイワイ楽しく遊んでから、彩香ちゃんはニコニコと帰っていきました。
帰り際に「また、遊びにきてもいいですか?」と聞くので、
瑞希のほうを見ると、
康介と一緒に「OK!」と大声で言うので
「いつでもどうぞ~」と私も微笑んで、言ってしまいました。
でも、玄関で振り向いた彩香ちゃんが「いじめてごめんなさい・・・」と
小さい声で言ったのが感動的でした。

思わぬ結末で、拍子抜けしたようでもあり、
妹に再度、「おねえちゃんのバカ!」とも言われてしまいました。

でも、彩香ちゃんのご両親はきっと、何もご存じないのでしょう、ね・・・
彩香ちゃんの「悲しみ」や「寂しさ」、「心の闇」が見えてないのでしょうね。


「いじめ」を認知できない、分からず屋の大人達!

今回のことがきっかけで、ピックアップした「いじめ」情報のなかで、
興味を引いたものは「分からず屋」の大人達の問題です。

「いじめ」られた経験のある子どもの担任にアンケートを採った結果です。
小学校で約4割、中学校で約3割、高等学校で約7割の担任が、
「うちのクラスに、【いじめ】は無い」と答えているのです。

また、「いじめ」られた経験があると答えた子どもの保護者にもアンケートを採った結果、
「自分の子供は【いじめ】られていない」、
「よく分からない」と答えた保護者が小・中学校で約6割、高等学校で約8割にも上るとのこと。

また、「【いじめ】たことがある」と答えた子どもの保護者の約7~8割は、
「自分の子どもは人を【いじめ】たことは無いと思う」と答えています。

担任・保護者ともに子どもの「いじめ」についての認知は非常に低いという結果ですね。
つまり、大人は子どもの「心の闇」を見ようとしていないのかもしれません。
賢い大人は「分からず屋」なのです。

オメデタイ瑞希は相変わらず、「いじめ」られたとは思っていませんが、
彩香ちゃんは間違いなく「確信犯」でした。
「いじめ」ている子どもは、分かって「いじめ」ているのに、自分では止められないのでしょう。
何故、「いじめ」たくなるのかも、問いただされて初めて気付くのでしょう。

子どもの深層心理を理解できるように、
いつでも、聞く耳をもてる大人でいたいと心から思います。

雨降って地固まり、ハッピーエンドに!

あれから2年、
彩香ちゃんはとっても、聡明なので、
見事、有名私立中学に合格しました。
瑞希は小中一貫校のエスカレーターに乗って、
何の苦労もなく、能天気でご機嫌な中学生活をすごしています。
でも、あれから、二人は大の仲良しになりました。
このまま生涯親友となっていけばいいですね。

雨降って、地固まる!ですね。

瑞希は彩香ちゃんの「心」の支えになり、
彩香ちゃんは瑞希の「成績」の支えになるでしょう(笑)

万事、ハッピーエンド!
良かった!良かった!!


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